まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
求人票をAIで作るとき、まず何をすべきか?
生成前に用意する「事実メモ」
- 雇入れ直後の業務(具体的な作業名で。「営業」ではなく「既存取引先30社への定期訪問と見積作成」)
- 将来の配置転換で就く可能性のある業務(=変更の範囲)
- 雇入れ直後の就業場所と、転勤・出向の可能性がある範囲
- 契約期間、更新の有無、更新の判断基準、通算上限の有無
- 基本給の額と各手当の額(固定残業代は必ず分離)
- 所定労働時間、休憩、休日、年間休日数
- 試用期間の有無と、その期間中の労働条件の違い
3ステップの実務フロー
- 下書き生成:事実メモを貼り、「不明な項目は推測せず〔要確認〕と出力して」と必ず添える
- 欠落補完:後述のチェックリストの④列プロンプトを投げ、法定項目を追記させる
- 検算と整形:賃金を検算式にかけ、掲載媒体の文字数制約に圧縮する
注意
「不明点は〔要確認〕と出力して」の一文を入れないと、AIは空欄を埋めようとして勝手に「昇給あり」「賞与年2回」等を書きます。これは実在しなければ虚偽記載です。
なぜ生成AIは求人票の法定項目を落とすのか

原因1:制度が新しく学習データに薄い
原因2:自社にしか答えがない
注意
AIが出した固定残業代の金額と時間数の組み合わせは、ほぼ確実に自社の実態と一致しません。後述の検算式で必ず整合を取ってください。数字が合わないまま掲載すると虚偽表示に接近します。
原因3:媒体の物理制約を知らない
AI出力そのままでは落ちる法定明示チェックリスト(14項目)
| ①明示項目 | ②根拠・施行 | ③AIが落とす理由 | ④追記プロンプト |
|---|---|---|---|
| 1. 従事すべき業務(雇入れ直後) | 職安法5条の3 | 抽象語(「営業全般」)で埋めがち | 「業務内容を、実際の作業名と頻度が分かる粒度に書き直して」 |
| 2. 業務の変更の範囲 | 職安則(2024/4追加) | 新制度で学習データに薄く、欄ごと出力しない | 下記の一括プロンプト参照 |
| 3. 就業場所(雇入れ直後) | 職安法5条の3 | 「本社」等で済ませる | 「就業場所を住所レベルで明記して」 |
| 4. 就業場所の変更の範囲 | 職安則(2024/4追加) | 同上。転勤の有無すら書かない | 下記の一括プロンプト参照 |
| 5. 労働契約の期間 | 職安法5条の3 | 「正社員」とだけ書いて期間の定めの有無を曖昧に | 「期間の定めの有無を明記して」 |
| 6. 更新する場合の基準・更新上限 | 職安則(2024/4追加) | 自社固有で外部に答えがない | 下記の一括プロンプト参照 |
| 7. 試用期間の有無・期間・その間の条件 | 職安法5条の3 | 「試用期間あり(3ヶ月)」で条件差を書かない | 「試用期間中の賃金・待遇が本採用と異なる場合、その内容を明記して」 |
| 8. 始業終業時刻・所定外労働の有無 | 職安法5条の3 | 残業の有無を書き落とす | 「所定外労働の有無と月平均時間を追記して」 |
| 9. 休憩・休日・年次有給休暇 | 職安法5条の3 | 「完全週休2日」で年間休日数を欠く | 「年間休日数を数値で追記して」 |
| 10. 賃金(基本給と各手当を金額で分離) | 職安法5条の3 | 「月給25万円〜」と総額だけ書く | 「基本給と各手当を金額で分離して表示して」 |
| 11. 固定残業代の3点セット | 若者雇用促進法・職安法 | 金額だけ書き、対応時間数と超過分支給の記載が欠落 | 「固定残業代について、①金額②該当する労働時間数③超過分は追加支給する旨、の3点すべてを明記して」 |
| 12. 加入保険 | 職安法5条の3 | 「社保完備」の一語で済ませる | 「加入保険を雇用・労災・健康・厚生年金で個別に記載して」 |
| 13. 募集者の名称・受動喫煙防止措置 | 職安法5条の3 | 受動喫煙の記載をほぼ必ず落とす | 「受動喫煙防止措置(屋内禁煙/喫煙専用室設置等)を追記して」 |
| 14. 〈2026年10月〜〉待遇差の説明を求められる旨 | パート・有期法 | 施行前で学習データに存在しない | 「パート・有期の求人には、正社員との待遇差について説明を求めることができる旨を追記して」 |
そのまま貼れる欠落補完プロンプト
求人票作成 aiは無料でどこまでできる?3ルート比較
| 評価軸 | (A)汎用AI無料枠+自作プロンプト | (B)求人媒体内蔵の生成機能 | (C)求人特化ツール無料枠 |
|---|---|---|---|
| ①費用 | 0円(無料枠内) | 0円(掲載無料枠に付随) | 掲載・応募者管理0円/有料オプションは1求人1日7,000円〜(engage、2026年7月時点) |
| ②法定14項目の自動充足 | 5/14(△) 2・4・6・14は出力なし | 6/14(△) 媒体の入力欄がある項目のみ強制される | 7/14(○寄り) 入力フォームが項目を誘導 |
| ③ハローワーク仕様への適合 | ○ 文字数を指定すれば圧縮可能 | × 媒体最適化されており転記に手直しが必要 | △ エクスポート前提の設計ではない |
| ④賃金額の根拠 | × AIの推測(要:一次データで裏取り) | △ 媒体の相場データ | △ ツール内の相場データ |
| ⑤自社の未公開情報の入力リスク | 高(学習利用設定の確認が必須) | 中(媒体の規約に依存) | 中 |
| ⑥生成後の手直し時間 | 約25分 | 約15分 | 約15分 |
情報漏えいリスクの線引き
- 既存従業員の個人名・給与額
- 未公開の給与テーブル、賞与の算定式
- 取引先名、契約金額
補足
帝国データバンクの2026年3月調査(有効回答1万312社)では、生成AIを業務活用している企業は全体34.5%、小規模企業では28.0%。用途の1位は「文章の作成・要約・校正」45.1%でした。求人票作成はまさにこの用途の中心にあります。
AI提示賃金の最低賃金割れ検算シート
- 月給総額A円、月平均所定労働時間B時間、固定残業代C円を書き出す
- 時間単価 =(A − C)÷ B
- 自県の最低賃金と比較する
- 固定残業代の対応時間数 = C ÷(時間単価 × 1.25)を逆算し、求人票の「◯時間分」と一致するか照合する
実例:月給200,000円・所定160時間・固定残業代20,000円
- 時間単価 =(200,000 − 20,000)÷ 160 = 1,125円
- 2026年度の地域別最低賃金は、2026年7月28日の中央最低賃金審議会答申で全国加重平均1,176円(前年度1,121円、+55円/+4.9%)の引上げ目安が示され、10月より順次発効します。1,125円は目安を下回り、最低賃金割れのリスクがあります
- 固定残業代の対応時間数 = 20,000 ÷(1,125 × 1.25)≒ 14.2時間
「業界水準の給与」と書いてよいかの判定
注意
最低賃金は都道府県ごとに異なります。1,176円はあくまで全国加重平均の目安額です。必ず自県の改定後の金額で判定してください。10月以降発効のため、9月中に作った求人票が10月に割れるケースがあります。
ハローワークの求人票をAIで書くコツは?
圧縮プロンプト
求人原稿をAIで作るときの共通ルール
- 装飾記号を使わせない:「★」「◎」等はNGの媒体がある。プロンプトで「記号による装飾は使わない」と指定する
- 年齢制限を書かせない:募集・採用における年齢制限は労働施策総合推進法第9条により原則禁止です(神奈川労働局の周知資料、2024年)。例外事由3号イで若年者を募集する場合、「経験者優遇」等の記載はできません
- 性別・国籍を絞る表現を出させない:AIは「明るい女性スタッフ活躍中」のような表現を出すことがあります
求人票を「AIが読む」前提で整形するコツ
AIが誤読しない書き方の4原則
- 数値は単独で置く:「月給25万円〜35万円(経験による)」より「月給:250,000円〜350,000円/基本給220,000円+固定残業代30,000円(17時間分)」
- 1行1項目にする:1文に複数条件を詰め込むと要約時に脱落します
- 相対表現を避ける:「比較的休みが多い」ではなく「年間休日120日」
- 項目名を明示する:「年間休日」「試用期間」「変更の範囲」と見出し語を付ける。AIは見出し語を手がかりに抽出します
専門家・公的情報が示す最低ラインは?
2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます
— 厚生労働省リーフレット(2024年)
補足
求人票の不備は「悪意の有無」で判断されません。AIが勝手に書いた文言でも、掲載した事業者の責任になります。
AIで求人票を作るときのNG対応
- AI出力をノーチェックで掲載する:賞与・昇給・手当を勝手に付け足された状態で公開すると虚偽記載です
- 固定残業代を金額だけ書く:対応時間数と超過分追加支給の記載が欠けた時点で不備です(厚労省リーフレット、2017年)
- 「変更の範囲」を空欄で出す:変更がない場合も「変更なし」と書く必要があります
- 無料枠に従業員の個人情報や給与テーブルを貼る:学習利用設定を確認しないまま入力しない
- AIに賃金相場を推測させて「業界水準」と書く:job tag等の一次データで裏取りしてから表現を決める
注意
制度改正は施行日をまたいだ瞬間に不備化します。求人票のテンプレートを保存して使い回している場合、2026年10月に一斉見直しが必要です。




