求人票をAIで作るときの最大のコツは、文章をきれいに書かせることではなく、AIが構造的に書き落とす法定明示事項を後段プロンプトで潰すことです。生成AIは「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「更新基準」を、指示しない限りまず出力しません。2024年4月に追加されたばかりの項目で、学習データに十分入っていないからです。
そしてもう一つ。求人票はもう応募者より先にAIが読む文書になりました。株式会社Iteraの2026年8月26日調査(n=880)では、転職時の企業情報収集手段として「生成AIへの質問」が26.02%と、口コミサイト(12.50%)の約2倍に達しています。
この記事では、AI出力をそのまま出すと落ちる法定14項目のチェックリスト、同じ求人を3ルートで作った実測比較、そして賃金の最低賃金割れを一発で見抜く検算式を配ります。
AI求人票の作業は「生成」ではなく「①法定項目の欠落補完」と「②AIが誤読しない形への整形」の2工程です。生成そのものは全体の2割程度と考えてください。
求人票をAIで作るとき、まず何をすべきか?
結論は、生成前に「自社の事実」を箇条書きで用意し、生成後に法定14項目のチェックリストで穴を埋めることです。この順序を守るだけで、差し戻しの大半が消えます。
AIに白紙から書かせると、AIは知らない部分を「一般的な文言」で埋めます。それが後で虚偽記載になります。職業安定法第65条第9号では、虚偽の広告や虚偽の条件提示で労働者を募集した者に6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(厚生労働省「職業安定法に基づく周知|労働者の募集広告の表示について」2024年)。
生成前に用意する「事実メモ」
先に事実を渡すほど、AIの推測混入は減ります。最低限これだけは手元に書き出してください。
- 雇入れ直後の業務(具体的な作業名で。「営業」ではなく「既存取引先30社への定期訪問と見積作成」)
- 将来の配置転換で就く可能性のある業務(=変更の範囲)
- 雇入れ直後の就業場所と、転勤・出向の可能性がある範囲
- 契約期間、更新の有無、更新の判断基準、通算上限の有無
- 基本給の額と各手当の額(固定残業代は必ず分離)
- 所定労働時間、休憩、休日、年間休日数
- 試用期間の有無と、その期間中の労働条件の違い
3ステップの実務フロー
- 下書き生成:事実メモを貼り、「不明な項目は推測せず〔要確認〕と出力して」と必ず添える
- 欠落補完:後述のチェックリストの④列プロンプトを投げ、法定項目を追記させる
- 検算と整形:賃金を検算式にかけ、掲載媒体の文字数制約に圧縮する
「不明点は〔要確認〕と出力して」の一文を入れないと、AIは空欄を埋めようとして勝手に「昇給あり」「賞与年2回」等を書きます。これは実在しなければ虚偽記載です。
なぜ生成AIは求人票の法定項目を落とすのか

結論から言うと、AIが落とすのは「新しい制度」と「自社にしか答えがない項目」の2種類です。原因が違うので、対処法も分けて考える必要があります。
原因1:制度が新しく学習データに薄い
2024年4月1日から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人申込みの際、明示すべき労働条件に「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間・更新回数の上限を含む)」の3項目が追加されました(厚生労働省リーフレット、2024年)。
ネット上の求人票サンプルの多くは改正前に書かれたものです。AIはその古いサンプルの形を再現するため、「変更の範囲」という欄自体が存在しない求人票を出力します。
さらに深刻なのが2026年10月の改正です。厚生労働省Webマガジン(2026年8月3日公開)によると、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の明示事項に「正社員との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」が追加されます。あわせて説明方法も、資料を活用した口頭説明または分かりやすい資料の交付が必須になります。施行直後に一斉に不備求人が発生する項目です。
原因2:自社にしか答えがない
固定残業代の金額、対応する時間数、更新の判断基準。これらは外部データに存在しません。AIは「みなし残業手当30,000円(20時間分)」のような、もっともらしい数字を作ります。
AIが出した固定残業代の金額と時間数の組み合わせは、ほぼ確実に自社の実態と一致しません。後述の検算式で必ず整合を取ってください。数字が合わないまま掲載すると虚偽表示に接近します。
原因3:媒体の物理制約を知らない
AIはハローワークの求人申込書に文字数上限があることを知りません。「仕事の内容」欄は最大360文字(30字×12行)、しかも求人検索の一覧に表示されるのは冒頭の30字×3行=90文字分とされています(民間解説による。様式は年度改定があるため最新の求人申込書で要確認)。
AIの生成文は結論が後ろに来がちです。冒頭90文字に何を置くかは、人間が決めるしかありません。
落ちる原因は「新制度で学習データに薄い」「自社固有で外部に答えがない」「媒体の物理制約を知らない」の3つ。すべて、生成後に人間が潰す前提で設計します。
AI出力そのままでは落ちる法定明示チェックリスト(14項目)
結論、この14項目を1つずつ照合するだけで、求人票の不備リスクは大幅に下がります。④列のプロンプトはそのままコピーして使えます。
| ①明示項目 | ②根拠・施行 | ③AIが落とす理由 | ④追記プロンプト |
|---|---|---|---|
| 1. 従事すべき業務(雇入れ直後) | 職安法5条の3 | 抽象語(「営業全般」)で埋めがち | 「業務内容を、実際の作業名と頻度が分かる粒度に書き直して」 |
| 2. 業務の変更の範囲 | 職安則(2024/4追加) | 新制度で学習データに薄く、欄ごと出力しない | 下記の一括プロンプト参照 |
| 3. 就業場所(雇入れ直後) | 職安法5条の3 | 「本社」等で済ませる | 「就業場所を住所レベルで明記して」 |
| 4. 就業場所の変更の範囲 | 職安則(2024/4追加) | 同上。転勤の有無すら書かない | 下記の一括プロンプト参照 |
| 5. 労働契約の期間 | 職安法5条の3 | 「正社員」とだけ書いて期間の定めの有無を曖昧に | 「期間の定めの有無を明記して」 |
| 6. 更新する場合の基準・更新上限 | 職安則(2024/4追加) | 自社固有で外部に答えがない | 下記の一括プロンプト参照 |
| 7. 試用期間の有無・期間・その間の条件 | 職安法5条の3 | 「試用期間あり(3ヶ月)」で条件差を書かない | 「試用期間中の賃金・待遇が本採用と異なる場合、その内容を明記して」 |
| 8. 始業終業時刻・所定外労働の有無 | 職安法5条の3 | 残業の有無を書き落とす | 「所定外労働の有無と月平均時間を追記して」 |
| 9. 休憩・休日・年次有給休暇 | 職安法5条の3 | 「完全週休2日」で年間休日数を欠く | 「年間休日数を数値で追記して」 |
| 10. 賃金(基本給と各手当を金額で分離) | 職安法5条の3 | 「月給25万円〜」と総額だけ書く | 「基本給と各手当を金額で分離して表示して」 |
| 11. 固定残業代の3点セット | 若者雇用促進法・職安法 | 金額だけ書き、対応時間数と超過分支給の記載が欠落 | 「固定残業代について、①金額②該当する労働時間数③超過分は追加支給する旨、の3点すべてを明記して」 |
| 12. 加入保険 | 職安法5条の3 | 「社保完備」の一語で済ませる | 「加入保険を雇用・労災・健康・厚生年金で個別に記載して」 |
| 13. 募集者の名称・受動喫煙防止措置 | 職安法5条の3 | 受動喫煙の記載をほぼ必ず落とす | 「受動喫煙防止措置(屋内禁煙/喫煙専用室設置等)を追記して」 |
| 14. 〈2026年10月〜〉待遇差の説明を求められる旨 | パート・有期法 | 施行前で学習データに存在しない | 「パート・有期の求人には、正社員との待遇差について説明を求めることができる旨を追記して」 |
固定残業代の3点明示は、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット(2017年)で、募集要項や求人票に①基本給の額②固定残業代の金額と該当する労働時間数③固定残業時間を超える時間外労働分は追加支給する旨、のすべてを明示するよう求められています。1つでも欠けると不備です。
そのまま貼れる欠落補完プロンプト
2・4・6の3項目は、まとめて1回で潰すのが効率的です。
``` 上記の求人票に、職業安定法施行規則で2024年4月に追加された 「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」 「有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間・更新回数の上限を含む)」 の3項目を、当社の実態(=以下に列挙)に基づいて追記してください。
【当社の実態】 ・将来就く可能性のある業務:〔記入〕 ・転勤・出向の可能性がある就業場所:〔記入〕 ・契約更新の判断基準:〔記入〕/通算上限:〔有・無〕
推測で埋めず、情報が不足する項目は〔要確認〕と出力してください。 ```
「変更の範囲」は、変更の可能性がない場合も「変更なし」と書くことで明示になります。空欄のまま出すのが最も危険です。
求人票作成 aiは無料でどこまでできる?3ルート比較
結論、無料枠だけで求人票は完成しますが、法定14項目の自動充足は3ルートいずれも半分以下です。人手の補完は必須と考えてください。
従業員5名の内装工事会社が現場作業員1名を募集する、という同一条件で3ルートを試した結果です。②の充足数は、上のチェックリストで「指示なしで出力されたか」を採点しています。
| 評価軸 | (A)汎用AI無料枠+自作プロンプト | (B)求人媒体内蔵の生成機能 | (C)求人特化ツール無料枠 |
|---|---|---|---|
| ①費用 | 0円(無料枠内) | 0円(掲載無料枠に付随) | 掲載・応募者管理0円/有料オプションは1求人1日7,000円〜(engage、2026年7月時点) |
| ②法定14項目の自動充足 | 5/14(△) 2・4・6・14は出力なし | 6/14(△) 媒体の入力欄がある項目のみ強制される | 7/14(○寄り) 入力フォームが項目を誘導 |
| ③ハローワーク仕様への適合 | ○ 文字数を指定すれば圧縮可能 | × 媒体最適化されており転記に手直しが必要 | △ エクスポート前提の設計ではない |
| ④賃金額の根拠 | × AIの推測(要:一次データで裏取り) | △ 媒体の相場データ | △ ツール内の相場データ |
| ⑤自社の未公開情報の入力リスク | 高(学習利用設定の確認が必須) | 中(媒体の規約に依存) | 中 |
| ⑥生成後の手直し時間 | 約25分 | 約15分 | 約15分 |
(A)は自由度が高い代わりに、法定項目の担保がゼロです。(B)(C)は入力フォームが項目を誘導してくれる分マシですが、2024年4月追加の3項目に対応した入力欄があるかは媒体次第でした。
Indeedは求人作成を支援する「求人作成AIサポート」機能を提供しており、2026年にはAIマッチング強化を軸としたアルゴリズム変更が進行しているとされます(代理店・制作会社による解説。仕様は公式情報での再確認を推奨)。
情報漏えいリスクの線引き
汎用AIの無料枠は、入力内容が学習に使われる設定になっている場合があります。求人票作成で入力しがちな以下は、無料枠に貼らない運用が安全です。
- 既存従業員の個人名・給与額
- 未公開の給与テーブル、賞与の算定式
- 取引先名、契約金額
公開予定の求人条件そのものは、いずれ世に出る情報なので入力しても実害は小さいです。線引きは「公開予定かどうか」で考えると迷いません。
帝国データバンクの2026年3月調査(有効回答1万312社)では、生成AIを業務活用している企業は全体34.5%、小規模企業では28.0%。用途の1位は「文章の作成・要約・校正」45.1%でした。求人票作成はまさにこの用途の中心にあります。
AI提示賃金の最低賃金割れ検算シート
結論、AIが出した月給と固定残業代は、時間単価に割り戻さないと最低賃金割れを見抜けません。手順は4ステップ、電卓で2分です。
- 月給総額A円、月平均所定労働時間B時間、固定残業代C円を書き出す
- 時間単価 =(A − C)÷ B
- 自県の最低賃金と比較する
- 固定残業代の対応時間数 = C ÷(時間単価 × 1.25)を逆算し、求人票の「◯時間分」と一致するか照合する
実例:月給200,000円・所定160時間・固定残業代20,000円
- 時間単価 =(200,000 − 20,000)÷ 160 = 1,125円
- 2026年度の地域別最低賃金は、2026年7月28日の中央最低賃金審議会答申で全国加重平均1,176円(前年度1,121円、+55円/+4.9%)の引上げ目安が示され、10月より順次発効します。1,125円は目安を下回り、最低賃金割れのリスクがあります
- 固定残業代の対応時間数 = 20,000 ÷(1,125 × 1.25)≒ 14.2時間
ここが重要です。この求人票に「固定残業代20時間分」と書けば、実際は14.2時間分しかない計算になります。虚偽の条件提示は職業安定法第65条第9号で6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(厚生労働省、2024年)。AIは「20,000円(20時間分)」のようなキリのいい組み合わせを平気で出すので、必ず逆算してください。
「業界水準の給与」と書いてよいかの判定
AIは根拠なく「業界水準以上の給与」と書きます。使ってよいかは、一次データとの乖離率で判定します。
乖離率 =(自社月給 − job tag該当職種の月額)÷ job tag月額 × 100
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、職種別の賃金・求人賃金・有効求人倍率から職業を検索でき、年齢別年収グラフ等を無料で参照できます(約531職業を収録、2024年4月時点)。乖離率がマイナスなら「業界水準」表記は取り下げるべきです。
最低賃金は都道府県ごとに異なります。1,176円はあくまで全国加重平均の目安額です。必ず自県の改定後の金額で判定してください。10月以降発効のため、9月中に作った求人票が10月に割れるケースがあります。
ハローワークの求人票をAIで書くコツは?
結論、ハローワーク用は「冒頭90文字に結論を寄せ、360文字に収める」圧縮工程が本体です。AI出力をそのまま貼ると、検索一覧で何の求人か分かりません。
「仕事の内容」欄は最大360文字(30字×12行)、求人検索の一覧に表示されるのは冒頭30字×3行=90文字分とされています(民間解説による。様式は要確認)。この90文字が実質的な広告枠です。
圧縮プロンプト
``` 以下の仕事内容を、ハローワーク求人申込書用に書き直してください。 ・全体360文字以内(全角) ・冒頭90文字だけで「何をする仕事か」「未経験可否」「勤務地」が分かる構成 ・冒頭に会社紹介や理念を置かない ・将来の配置転換で異なる業務に就く見込みがある場合、変更後の業務も本文に含める ```
最後の1行は必須です。ハローワークインターネットサービス「求人情報の入力方法について」(2024年)では、雇入れ直後の業務(職種)を記載したうえで、将来の配置転換等で異なる業務に配置される見込みがある場合は「仕事の内容」欄に変更後の業務を入力する必要があるとされています。
求人原稿をAIで作るときの共通ルール
媒体を問わず効くのは次の3点です。
- 装飾記号を使わせない:「★」「◎」等はNGの媒体がある。プロンプトで「記号による装飾は使わない」と指定する
- 年齢制限を書かせない:募集・採用における年齢制限は労働施策総合推進法第9条により原則禁止です(神奈川労働局の周知資料、2024年)。例外事由3号イで若年者を募集する場合、「経験者優遇」等の記載はできません
- 性別・国籍を絞る表現を出させない:AIは「明るい女性スタッフ活躍中」のような表現を出すことがあります
ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等は令和6年度で3,297件(厚生労働省、2025年)。平成29年度の8,507件からは大幅に減りましたが、いまだ年3千件超です。求職者向けにはハローワーク求人ホットライン(03-6858-8609)も設置されています。
求人票を「AIが読む」前提で整形するコツ
結論、求人票は応募者より先にAIが読む文書になりました。AIが誤読しない形にすることが、そのまま応募数に効きます。
直近1年以内に転職活動をしAIで企業情報を調べた25〜45歳111人への調査(LANY、2026年6月)では、87.4%が「AIで得た情報をきっかけに応募見送りまたは選考辞退」を経験しています。スカウト受取直後にAI調査する人が53.2%、辞退理由の69.1%は「他社比較で不利な評価」でした。
つまり、求人票の情報が曖昧だとAIは他社の明確な求人と比較して不利に要約します。書いていない項目は「不明」ではなく「悪い方」に推定されると考えたほうが実態に近いです。
AIが誤読しない書き方の4原則
- 数値は単独で置く:「月給25万円〜35万円(経験による)」より「月給:250,000円〜350,000円/基本給220,000円+固定残業代30,000円(17時間分)」
- 1行1項目にする:1文に複数条件を詰め込むと要約時に脱落します
- 相対表現を避ける:「比較的休みが多い」ではなく「年間休日120日」
- 項目名を明示する:「年間休日」「試用期間」「変更の範囲」と見出し語を付ける。AIは見出し語を手がかりに抽出します
Itera調査(2026年8月26日、n=880)によると、AIで調べる内容は「事業内容・評判」59.24%、「年収・待遇の相場」53.82%。待遇の相場が半数を超えている以上、賃金の内訳を曖昧にした求人票は不利になります。
曖昧な表現はAIに「不利な要約」をされます。数値・1行1項目・見出し語の3点で整形するだけで、AI経由の離脱を減らせます。
専門家・公的情報が示す最低ラインは?
結論、公的資料が求める最低ラインは「明示項目の網羅」と「実態との一致」の2点に集約されます。表現の巧拙は問われていません。
2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます
— 厚生労働省リーフレット(2024年)
労働契約締結時の明示ルールも同時に改正されました。厚生労働省の無期転換ポータルサイト(2024年)によると、①就業場所・業務の変更の範囲(全ての労働契約の締結・更新時)②更新上限の有無と内容③無期転換申込機会④無期転換後の労働条件、の明示が必要です。求人票と労働条件通知書は連動して直す必要があります。
申出の内訳(令和3年度)は賃金に関すること26%、就業時間に関すること18%、選考方法・応募書類に関すること13%とされています(厚労省公表資料に基づく民間解説。最新年度の内訳は厚労省の年度別詳細資料で一次確認を推奨)。トラブルの4分の1が賃金です。検算式を必ず通す理由がここにあります。
求人票の不備は「悪意の有無」で判断されません。AIが勝手に書いた文言でも、掲載した事業者の責任になります。
AIで求人票を作るときのNG対応
結論、「AIが書いたから」は免責になりません。次の5つは、実害が出やすい順に避けてください。
- AI出力をノーチェックで掲載する:賞与・昇給・手当を勝手に付け足された状態で公開すると虚偽記載です
- 固定残業代を金額だけ書く:対応時間数と超過分追加支給の記載が欠けた時点で不備です(厚労省リーフレット、2017年)
- 「変更の範囲」を空欄で出す:変更がない場合も「変更なし」と書く必要があります
- 無料枠に従業員の個人情報や給与テーブルを貼る:学習利用設定を確認しないまま入力しない
- AIに賃金相場を推測させて「業界水準」と書く:job tag等の一次データで裏取りしてから表現を決める
もう1つ、見落とされがちな落とし穴があります。AIは古い制度の求人票を再現するという点です。2026年10月施行のパート・有期向け新明示事項は、現時点の生成AIはまず出力しません。パート・有期の求人を作る場合は、10月以降の掲載分に「正社員との待遇差について説明を求めることができる旨」を自分で追記する必要があります。
制度改正は施行日をまたいだ瞬間に不備化します。求人票のテンプレートを保存して使い回している場合、2026年10月に一斉見直しが必要です。
よくある質問
求人票の作成に無料のAIだけで対応できますか?
できます。ただし法定14項目の自動充足は、実測で3ルートいずれも半分以下でした。無料枠で下書きを作り、チェックリストで人間が補完する運用が現実的です。有料ツールに切り替えても、変更の範囲や更新基準は自社しか答えを持たないため、補完作業自体は消えません。
AIが書いた求人票で法令違反になったら誰の責任ですか?
掲載した事業者の責任です。職業安定法第65条第9号では、虚偽の広告・虚偽の条件提示による募集に6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(厚生労働省、2024年)。生成ツールの利用は免責事由になりません。
ハローワークの求人票をAIで書くとき、一番気をつけることは?
文字数の圧縮です。「仕事の内容」欄は最大360文字、検索一覧に出るのは冒頭90文字分とされています。AI出力は結論が後ろに来るため、冒頭に「何をする仕事か・未経験可否・勤務地」を寄せる指示を必ず入れてください。
固定残業代の書き方をAIに任せても大丈夫ですか?
任せられません。金額と時間数の組み合わせをAIが作ると、実態と合わない数字になります。「固定残業代 ÷(時間単価 × 1.25)」で対応時間数を逆算し、求人票の記載と一致するか必ず照合してください。ズレたまま掲載すると虚偽表示に接近します。
2026年10月の改正で、求人票の何を直せばいいですか?
パート・有期雇用労働者向けの求人に、「正社員との待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」の追記が必要になります(厚生労働省Webマガジン、2026年8月3日公開)。あわせて説明方法も、資料を活用した口頭説明または分かりやすい資料の交付が必須になります。生成AIは学習データにこの項目を持たないため、自分で追記してください。
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最後に、明日からの手順を3行でまとめます。事実メモを7項目そろえてからAIに投げる。生成後にチェックリスト14項目と欠落補完プロンプトで穴を埋める。賃金は検算式で最低賃金と固定残業時間を照合する。この3工程だけで、AI求人票の事故はほぼ防げます。




